2017年4月12日水曜日

【女の子の教育環境改善】ベースライン調査の実施報告

こんにちは!Global Bridge Network(GBN)です!

「生理で学校に行けなくなる女の子の教育環境改善事業(ウガンダ)」がスタートいたしました!

今回の投稿は、株式会社LUSHジャパン様から頂いた助成金をもとに開始した、アフリカのウガンダで進行中のプロジェクトの初期調査の実施レポートです
このプロジェクトは、女の子が生理中にからかわれたり、学校を休んだりすることで退学に繋がってしまう…という問題を解決して、女の子たちが継続して学校に通えるようにサポートする活動です。
プロジェクト開始にあたり、現地の状況を把握すべく、現地NGOのSORAKがベースライン調査を行いました。SORAKから届いた実施レポートを翻訳してお届けします!




 ***ベースライン調査の実施報告***




今回の調査は2017434日の2日間に渡り、ウガンダのムベンデ県にあるプロジェクトの対象校である小学校3校で、生理が始まった女子生徒84名を対象に実施した。



アセスメント前にブリーフィングを受ける女の子たち
@プレシャス・チャイルド・ラーニングセンター


<目的>

本調査の目的は、彼女たちが置かれている現在の状況を把握すること、そしてこの調査結果に基づき、農村地域の青年期の女子生徒たちが、月経に関する知識を習得し、生理中に衛生的な自己管理をできるよう事業を実施するためである。この調査結果は、彼女たちにより良い環境を提供できる効果的なプロジェクトを計画・立案するために重要な情報となる。そして、劣悪な環境にいる女の子たちが基礎教育を修了し、結果的に更なる活躍の場を与える(女性エンパワーメントを強化)ためにも不可欠なことである。




リサ―チ・アシスタントが説明している様子
@プレシャス・チャイルド・ラーニングセンター
<対象校>
今回の調査は、ウガンダのムベンデ県にある小学校3校で実施した。1校は孤児や劣悪な環境にいる子どもたちを対象にSORAKが運営しているプレシャス・チャイルド・ラーニングセンター。残り2校は、カトリック教会が創立し、政府の助成を受けている聖ジョセフ・チバリンガ小学校と、イスラム教会によって創立され、政府の助成を受けているルワウナ小学校である。

<調査のメンバー>

今回の調査は2017年4月3日,4日の2日間に渡り、以下の女性チーム4名によって実施された。

メンバーは、チームリーダーのEmilly KatamujunaSORAK(現地NGOGBNのパートナー団体)プログラム・マネージャーHadijah Nakiruuta、リサーチ・アシスタントのElizabeth Nakinobe Milly Nalugyaである。

注)女の子に対するデリケートな質問も含むため、敢えて女性だけのチームを構成した。


チームリーダーのエミリーと他のメンバーが
アセスメント前に女の子たちに説明している様子①
@聖ジョセフ・チバリンガ小学校

チームリーダーのエミリーと他のメンバーが
アセスメント前に女の子たちに説明している様子②
@聖ジョセフ・チバリンガ小学校



<手法>
今回の調査は、生理が始まった女子生徒のみを対象としている。彼女たちは識字水準が低いため、インタビュー実施者が直に質問をしながら進める方式を取った。前述したように調査対象が女の子のため、女性のみのチームで調査を実施した。

ブリーフィングの内容
・月経とは何か、なぜ月経が起きるのか
・生理中に女の子が直面する課題
・生理前・生理中に起きる身体的・精神的変化
・生理に対する適切な衛生管理とケア
・使い捨てナプキンと再利用可能な布ナプキンのつけ方(使い方)の実演
・他の女の子たち(自分以外)は生理中どのようになるかについて簡単に説明
例)「不安」、「怖い」、「居心地が悪い」、「皆から見られている」という感情を持つこと。また、学校を欠席する、セーターのような衣類を余分に腰に巻いて登校している状況など。





女の子が質問を受けている様子
@聖ジョセフ・チバリンガ小学校

リサーチ・アシスタントが生理用ナプキンを見せている様子
@聖ジョセフ・チバリンガ小学校



<調査状況>

今回の調査では、既に月経が始まった女の子150名を対象とする予定だったが、実際にはプレシャス・チャイルド・ラーニングセンターから4名、聖ジョセフ・チバリンガ小学校からは43名、ルワウナ小学校からは37名の合計84名が対象となった。理由は、月経を迎えている女子学生が多い学校の7年生が帰宅した後にこの調査が行われ、月経を既に迎えた女子学生が少なかったためである。




調査チームが直面した課題は以下である。

・アンケートの質問が多量だったため、女の子たちは最後まで集中力を保てなかった。

・自分の年齢、誕生日を知らない女の子たちがいた。

・自分の月経について適切に把握していない女の子がいた。例えば、月経期間の日数、次の月経までの平均周期など。(日本では、一回の生理の日数、次の生理がいつ来るのかを記録して、大体把握している)




リサーチ・アシスタントが調査概要を説明している様子
@ルワウナ小学校


上記のような問題に直面したが、女の子たちに熟考する時間を十分に与えることで対応した。具体的なデータ導き出すために、調査チームは十分な時間をかけて彼女たちに説明した。そのため、最初に調査を実施した聖ジョセフ・チバリンガ小学校では午前からスタートし、午後1時に調査を終了する予定が、実際に終了したのは午後630分だった。この経験を活かし、他の2校プレシャス・チャイルド・ラーニングセンターとルワウナ小学校では、予定通り午前9時から午後1時の間に実施することができた。全体を通して、女の子たちだけでなく、学校の管理者が大変関心を持って協力してくれたため、今回の調査を無事に実施することができた。


リサーチ・アシスタントが生理用ナプキンの使い方の実演
をしている様子@ルワウナ小学校



<調査チームが得た教訓>

今回の調査を通じて、以下の教訓を得た。

・青年期の女の子を対象とする場合、彼女たちの両親から同意を得る必要がある。今後、性教育、ジェンダー(男女平等)啓発、再利用可能な布ナプキンの作成トレーニングの実施において、特に親の理解を得ることが重要である。なぜなら、性に関する話は伝統的にタブーであり、彼女たちの親が子どもに性教育をしていることを知ると、不道徳なことを教えていると捉える可能性が存在するためである。

・親たちは、月経について子どもに話すことはとても恥ずかしいと感じている。今回の調査で女の子たちは性について話すことを不安に思っており、親の許可を得る必要があると分かった。よって、生理ナプキン作成トレーニング、衛生・性教育、およびジェンダー平等の意識向上の活動をする際に、親も参加させる必要がある。親もこれらの活動に参加することで、我々の活動が子どもたちにとって意義のあるものだと理解し、受け入れることができると思われる。





女の子たちがリサーチ・アシスタントの実演を見ている様子
@ルワウナ小学校


<今後について>
以上の得られた教訓を基にできた今後のプランは、ミシンを所有する保護者の女性を各学校に1名配置することである。そうすれば、その保護者と共に、教員と子どもたちで生理ナプキンを作成する活動を持続することができる。ミティアナ県(ムベンデ県の隣県)では、保護者1名を巻き込むことで、生理用ナプキン作成の活動が成功した事例がある。よって、各学校に女性の保護者1名とミシンを配置し、生理用ナプキンを作成していくことを決定した。


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以上が現地からのレポートです。

日本と異なる文化的背景や経済状況がウガンダにはあり、女子生徒たちの状況は深刻です。GBNでは現地と綿密にやり取りをしながら、引き続きプロジェクトを進めてまいります。

ウガンダの女の子たちが継続して学校に通うことが出来るよう、皆様からのご支援を頂けますと幸いです。

レポートはこちら
ベースライン調査報告_April 2017.pdf


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